モツゴの産卵場と産着卵(茨城県牛久沼の事例)
Spawning ground and attached egg of the Pseudorasbora parva(The example of the Ushiku-swamp,Ibaraki).
fig.01 モツゴ産卵場全景
fig.01 牛久沼のモツゴ産卵場全景
fig.02 産卵床の真竹 fig.03 モツゴ産着卵
fig.02 産卵床の真竹 fig.03 牛久沼のモツゴ産着卵
【目的】
モツゴは牛久沼漁業協同組合の漁業権魚種の一つで、牛久沼漁業協同組合は毎年成魚を購入し放流している。
しかし、茨城県牛久沼におけるモツゴの生活環や自然加入資源量等は、ほとんど未解明である。
資源管理型増殖を進め、遊漁者・漁業者にモツゴ資源を安定供給するための、基礎的データ集積が求められるなか、 今回は産卵期という時節柄、牛久沼内の産卵場を調査した。

【結果】
●2008年05月16日、牛久沼において、沼に刺し立ててあった真竹を抜いたところ、真竹の約1.2m範囲(水面から沼底 迄の水深に相当する水没区間)に、産着卵を発見した(fig.01-fig.03)。
真竹の下部(沼底に近い側)に発眼卵が多く、上部の胚は受精直後が多いように目視され、さらには既にふ出を終えて卵幕の残骸が 剥離した痕跡のような箇所も観察した(fig.03)。
◎他の特徴をまとめると、以下のようである。
●産卵場(fig.01)は、牛久沼東谷田川筋の左岸(東岸)に位置する
●産卵場一帯は、陸上から沖(水深2.0m)へ、なだらかな自然勾配が続く底部形状で、水生植物帯の幅は60〜80mに及んでいる
●観察した真竹の位置は、岸辺に近く、底質は砂が多く、泥は少ない
●産着卵は列状であった
●胚の発生段階は混在していた

【考察】
●胚の発生段階が混在しており、何度か繰返し産着されたようだ
●産着卵の密度は、真竹の垂直方向1.0m範囲が特に密であったため、真竹1本あたり産着卵の総数を実測した(fig.03)。
☆真竹の直径5.0cm、長さ1.0mの産卵床面積を求め、
@S=πD=3.14×5.0=15.7cm
A0.157m×1.0m=0.157m2
上記条件下において、真竹1本あたり産着卵の総数は、約15,600粒であることが明らかになった(fig.03)。

●発眼卵の卵幕を人工的に破ると、ふ出した仔魚は即座に活発に泳いだため、 観察日を自然ふ出日とみなし、最も成長した発眼卵の産卵日を逆算・推定した。
☆「水温15.1℃〜21.5℃では、受精後約12日(内田1936)で、」※01
☆「受精後8日(20℃)ないし12日(18℃)でふ化し、」※02
☆「水温21℃〜23℃では受精後約5〜7日(岡田(弥)と清石1936)で孵化する」※01
☆04月30日の牛久沼水温は、18.0℃であった
☆05月16日(観察日)の牛久沼水温は、18.0℃であった
上記条件下において、産卵日は05月04日(16日−12日前=04日)と計算された。
しかし、前述の「既にふ出を終えて卵幕の残骸が剥離した痕跡」(fig.03)を考慮し、 牛久沼におけるモツゴの産卵は、05月04日からさらに1週間程度さかのぼり、04月下旬に 開始された可能性が高いものと考えられる。

【参考文献】
※01 青柳兵司(1979):モツゴ.日本列島産淡水魚類総説(復刻版).淡水魚保護協会.大阪,pp.106−108.
※02 宮地傳三郎・川那部浩哉・水野信彦(1981):
モツゴ.原色日本淡水魚類図鑑(原色図鑑32)全改訂新版6刷.保育社.大阪,pp.186−188.
※03 よしさん(2008):「牛久沼のモツゴ前期仔魚(ふ出翌日)」.亀山湖牛久沼ワカサギ情報

観察・撮影:2008年05月16日(金)09:00 ◎○ 気温17.0℃ 水温18.0℃ 水位YP6.06m 水色ややマッディー
発表:2008年05月21日(水) 牛久沼漁業協同組合顧問よしさん
転載許可: 牛久沼漁業協同組合ホームページ に本稿転載を許可します。よしさん。
牛久沼漁業協同組合

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