牛久沼(レンタルボートたまや沖)におけるワカサギ初期餌料調査報告(2008)
Japanese-smelt initial bait charges survey in the Ushiku swamp.
茨城県牛久沼の、牛久沼漁業協同組合「ワカサギ卵恒久ふ化設備」に収容した、網走湖産ワカサギ受精卵のふ出初日は、 2008年04月23日(水)13:30、ワカサギ仔魚の大半がふ出したのは04月24日(木)夜でした。
ワカサギふ化仔魚は、ふ出から数日以内に初期餌料の動物プランクトン(ツボワムシ等)を採餌しないと斃死する(初期減耗)との説もあるため、 ふ出直後に漁場のプランクトン調査を実施しました。
fig.01 ケンミジンコ属
fig.01 ケンミジンコ
Cyclopoida.sp
fig.02 ゾウミジンコ
fig.02 ゾウミジンコ
Bosmina longirostris
fig.03 フクロワムシ
fig.03 フクロワムシ
Asplanchna priodonta
fig.04 ツボワムシ
fig.04 ツボワムシ
抱卵1ケ
fig.05 ツボワムシ
fig.05 ツボワムシ
抱卵2ケ
fig.06 ツボワムシ
fig.06 ツボワムシ
抱卵4ケ
fig.07 ワカサギ仔魚a
fig.07 ワカサギ仔魚a
頭部
fig.08 ワカサギ仔魚b
fig.08 ワカサギ仔魚b
頭部
fig.09 ワカサギ仔魚c
fig.09 ワカサギ仔魚c
頭部
【よしさんコメント】
2008年04月25日(金)、ワカサギふ化仔魚放流地点沖に出現した動物プランクトンは、 ケンミジンコ属・ゾウミジンコ・フクロワムシ・ツボワムシ(fig.01-06)でした。
優占種はツボワムシ(変異型) Brachionus calyciflorus f.amphiceros (fig.04-06)で、 次いでフクロワムシ、他は少数派です。

2008年04月25日(金)に、ふ出したワカサギふ化仔魚の頭部(fig.07-09)を、下段に示します。
掲載した顕微鏡写真の、背景の格子線(グリッド)間隔は0.1mm(100ミクロン・μm)です。
格子線により、ワカサギふ化仔魚の口幅(両眼の間)と食道を測定すると、物理的に採餌・嚥下可能な餌料サイズは 約200〜300μm未満であることが判明します。

そこで「約200〜300μm未満」という基準で、出現したプランクトンの幅と高さを照会すれば、 ツボワムシがワカサギふ化仔魚の初期餌料に最適で、 ケンミジンコ属・ゾウミジンコ・フクロワムシは、大き過ぎて不適当と判断できます。
抱卵しているツボワムシは動きが遅いため捕捉され易く、 今回のワカサギふ化仔魚は、ツボワムシに遭遇・採餌できた可能性が高く、ワカサギ資源管理の第1歩が 確認されたと言えます。


佐藤隆平(1954)は、青森県小川原湖の事例として、ワカサギふ化仔魚の初期餌料に、 カメノコウワムシ Keratella cochlearis とハネウデワムシ Polyarthra platyptera を挙げ、 その後全長7mm以上に成長して、初めて橈脚類のノウプリウス幼生・カワリゾウミジンコ Bosmina coregoni 等を採餌する、と報告しています(※01)。
白石芳一(1961)は、諏訪湖他の事例として「ふ化後数日から10数日ころまでの間は、輪虫類でも藻類でもない、 淡黄色の胃内容物が相当見られる。これはおそらく細菌や原生生物の類で、食べられると同時に体がこわされてしまうものと 考えられる。」とした上で、体長20mmでワムシ類を主餌料とする模式的表を報告しています(※02)。

【参考文献】
(※01)佐藤隆平(1954)「ワカサギの漁業生物学」東京大学農学部水産学科、水産増殖叢書5、34pp
(※02)白石芳一(1961)「ワカサギの水産生物学的ならびに資源学的研究」淡水区水産研究所研究報告第10巻第3号、別刷、 70pp及びTable35.

採取:2008年04月25日(金) 08:00 天候◎○ 気温:11.0℃
水位:YP6.21m 水温:16.0℃ 水色ややマッディー
発表:2008年05月01日(木) 牛久沼漁業協同組合顧問よしさん
転載許可:牛久沼漁業協同組合ホームページに本稿転載を許可します。よしさん。
牛久沼漁業協同組合

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